熱転写印刷技術
熱転写印刷の可能性を飛躍させる
現代の生活をありとあらゆる側面から支える印刷技術。アルプスアルパインは熱による印刷技術である「熱転写印刷技術」を発展させることで、立体・平面を問わず幅広い印刷を実現してきました。
対象物を選ばず、高い精度で微細な印刷ができる熱転写印刷技術
熱転写印刷技術は、インクを直接印刷対象物に吹き付ける塗装方式とは異なり、フィルムに予め画像を描き、それを対象物に貼り付けて転写させることで、デザイン性豊かな印刷が可能になります。

熱転写プリンター / 画像を印刷したフィルム
スマートフォンや家電、雑貨、自動車の内装など、熱転写印刷技術によって印刷された製品は、私たちの日常に溶け込んでいます。
熱転写印刷技術では、熱をかけたローラーを押し付ける「ホットスタンプ」や金型内に直接印刷フィルムを封入して一体成形する「インモールド・ラミネート成形」などがあり、対象物を選ばず様々な装飾印刷ができます。
使用されるフィルムは、高精細、高解像度の特徴を生かして、塗装方式では困難な印刷が可能です。グラデーションの入った色付けや微細な線の印刷、リアルな金属の質感を再現するなど、さまざまなデザインや質感を表現できます。

様々な質感を表現した加飾印刷フィルム
未来につながる、アルプスアルパインの熱転写印刷技術
アルプスアルパインの熱転写印刷技術は、1974年に初めてマイクロプリンターを開発、その後もワープロやCDラベルを印刷するプリンター、名刺プリンターなど多くの製品を生み出してきました。50年以上にわたる経験が、当社のプリンター開発の基盤となっています。
アルプスアルパインのプリンターは、ハードウェアやソフトウェアの開発においても自社で行っています。ハードウェアに関しては、高精細で省電力なサーマルヘッドや、印刷対象物を正確に送り込むための小型モジュールギア、数十ミクロンの微細突起が刻まれたローラーを自社で製造。自社製のプリンターの性能向上に励んできました。
ソフトウェアに関しては、色彩を合わせるためのカラーマッチングや画像処理に至るまで、印刷工程に関わるすべてのソフトウェアを自社で開発・運用しています。さらに、流量解析やヘッドの押し圧、柔軟な印刷対象の搬送など、印刷に関わる諸要素を実機確認して解析。それらの蓄積を新製品へと反映し、製品性能のさらなる向上に繋げています。

また、アルプスアルパインが保有する静電技術と、熱転写印刷技術を組み合わせた熱転写加飾印刷も独自に開発。光を当てると文字やデザインが浮かび上がる特殊なインクを使った独自の印刷方式を組み合わせて、「木目・金属調にしか見えない平面に、操作可能なデザインを浮かび上がらせる」印刷面を作り上げました。


この加飾印刷は、例えば「自動車の木目調の内装に直接操作面を印刷し、使用時のみ浮かび上がらせる」などの使用例が考えられ、限られたスペースを有効活用できる未来のインテリアを実現できます。
家庭用分野で高いシェアを獲得、環境負荷の軽減も実現

※中日社 『2023プリンタ市場の全貌』より
この技術の蓄積により、2022年には家庭用フォトプリンターのメーカー別生産数量において51.2%のシェアを獲得。また、産業用プリンターの製造・販売や、印刷用フィルムの販売も手がけ、産業分野においても高いシェアを獲得しています。
アルプスアルパインは高いシェアを獲得すると同時に、熱転写印刷技術を用いた環境負荷の軽減にも力を入れています。例えば、有害物質の発生を伴うメッキ加工を、反射率の高いメタリックな印刷が施されたフィルムを用いて代替することで、コスト削減や環境への負荷軽減を実現しています。この技術を実用化しているのが自動車のヘッドライトです。透明部に直接メタリック印刷をすることで、コストダウン・製造工程の簡略化と同時に、環境への負荷を減らすことができます。

50年以上にわたって築き上げてきたアルプスアルパインの熱転写印刷技術は、日常的な用途から、自動車の内外装といった工業分野まで、多岐にわたります。これからも環境への配慮を重視し、他の分野の新技術を取り入れつつ、「印刷」というテクノロジーの最先端を追求していきます。