光学技術

世界に誇る精度と性能で、未来を映し出す光学技術

光通信用・民生用・産機用・車載用といった幅広い分野でのソリューションを提供してきたアルプスアルパインの光学技術。
CDのデータの読み込みや書き込み用のレンズ、携帯電話用のカメラレンズ、光通信、計測機器、レーザー加工機、車載機器など、さまざまな用途に対し開発を進めてきました。これまで積み重ねたノウハウは、次世代のインターフェースの創出へと繋がっています。

30年以上の歴史を誇る、ガラスレンズ

1980年代、CDの読み取り用レンズの開発から始まったアルプスアルパインの光学技術。レーザーによるデータの読み取りや記録に不可欠だったのが、精度の高い小型のレンズです。このレンズ開発が当社の光学技術の基礎となり、その後非球面通信用レンズへ発展、30年以上の歴史を重ねてきました。

CDドライブ読み取り用レンズ

光学技術において開発初期より注力してきたのが、ガラスを高温で加熱して軟化させ、精密な金型で成形するガラスレンズです。ガラスレンズは、プラスチック製レンズに比べ耐熱性・耐候性の点で優れています。
ガラスレンズの信頼性の高さが遺憾なく発揮されているのが、当社の光学技術の主力製品ともなっている光通信用のレンズです。アルプスアルパインでは、オーディオ事業で蓄積したレンズ開発技術を応用し、インターネット用に光通信が普及し始めた2000年ごろより通信用レンズの量産をスタート。過酷な環境でも機能を求められるガラスレンズを開発してきました。例えば、海底に敷設される光通信用ケーブルに内蔵され、通信の基幹となるレンズです。

現在、光通信用としてアルプスアルパインが製造しているレンズの直径は、およそ1㎜。極めて小型で高い精度を有するレンズの量産化に成功し、光通信用非球面ガラスレンズとして世界で約30%のトップシェアを獲得しています。

光通信用レンズ

シングルナノレベルの表面の凹凸を実現するコアテクノロジー

極小のレンズを製造するためにアルプスアルパインが構築してきたコアテクノロジーのひとつが、精密金型加工です。当社のガラスレンズはすべて金型による成形となっており、レンズの精度に直結する極めて微細な金型を使用して、自社製造しています。
一般的なレンズ製造で必須となる研磨工程は行わず、ナノ単位で設計・製造された金型を用いることで、当社のレンズは最高値で非球面形状誤差0.15μm以下、表面粗さ5nm以下を達成。金型により高精度を実現すると同時に、短時間で成形できる設備を複数所有しており、およそ1分間で100個製造できるキャパシティを保有しています。

レンズの設計段階においては、レンズの性能を左右する、波面収差と言われる光が一つの点に集まらずにぼやけて見えてしまう現象や、色収差と言われる光の色によって焦点の位置や像の鮮明度がくずれる現象が起こらないようにする光学シミュレーションを行います。異なる屈折率のレンズを接合し、色収差を補正する機能をもった色消しレンズや、レーザーの速く進む振動方向(屈折率が低い)側のみの光を平行状態に調整できるFACレンズを開発しています。
FACレンズの活用例となるのが、自動運転技術においてレーザーを照射して、その反射光の情報をもとに対象物までの距離や対象物の形などを計測する「LiDAR」です。その他、人間の視野の中に、周囲の光景に溶け込むよう重ね合わせて情報を投影させる「HUD」用のレンズや、金属加工用レーザー機器など、広く利用されています。

また、応用製品として表面が球面である微細なレンズを多数個配列した「レンズアレイ」の製造や、金属ホルダーを同時に装着させる直接成形などにも対応し、光通信はもちろん、産機、車載用といった多分野でのニーズにお応えしています。

「空中表示」で創る、インターフェースの未来形

これまで蓄積してきた光学技術のノウハウを活かし、非接触の需要に着想を得て開発したのが「ステルス空中インターフェース」です。「操作可能な空中表示」を世界で初めて具現化したこの装置は、国内外の最先端テクノロジーが集まる「CEATEC AWARD」キーテクノロジー部門で2022年に準グランプリを受賞。スイッチやボタンなどメカ的な操作系を一切排したかわりに、必要な時だけジェスチャーによって表示を浮かびあがらせる機能を持っています。これは、レーザーによるデータの読み取りや記録に用いられるレンズで培った光源の制御技術が活用されています。
さらに、ステルス空中インターフェースには静電技術と熱転写加飾技術が活用されています。それぞれアルプスアルパインが持つコア技術を結集して生み出した次世代のインターフェースとなっています。

ステルス空中インターフェースは、衛生面の管理が必要となる医療現場や、汚れた状態での操作が必要な建設現場などでの利用が想定されています。今後空中表示の機能性が拡張されれば、一般家庭や商業施設などにも応用されることが期待されます。リモコンやスイッチを集約したテーブルや壁面、不特定多数の人が利用するエレベーター、店舗での会計時に用いられるレジなどに空中表示が活用されるシーンも、そう遠くない未来に見られるかもしれません。

30年以上に渡りガラスレンズに特化してきたアルプスアルパインの光学技術。これからも高精度・高信頼性のレンズを開発するとともに、光学分野の新たな可能性を広げていきます。

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