アクチュエーション技術

ニーズに合わせ、小型かつ高精度な動きを追求し、大きな感動を創出するアクチュエーション技術

「アクチュエーション」とは、電気・磁気などによって機械を動作させることを指し、この動作を行なうための装置を「アクチュエーター」と呼びます。

アルプスアルパインのアクチュエーターは、非常に小さく精密な動作制御が求められる箇所で主に利用されています。例えば、記録用ディスクのデータ読み取り装置や、スマートフォンのカメラのフォーカスやバイブ機能などです。見えないところで重要な役目を果たしている、アルプスアルパインのアクチュエーション技術についてご紹介します。

アルプスアルパインが作る、3種類のアクチュエーター

アルプスアルパインが現在研究・製造しているアクチュエーターは、電磁式アクチュエーター、形状記憶合金を使用したSMA式アクチュエーター、電圧を加えることで変形する圧電素子を使用したピエゾ素子式アクチュエーターの3種類です。

3種類の中でも、2007年ごろから開発が進んだ最もオーソドックスな方式が電磁式アクチュエーターです。これは音響用スピーカーのコーンを振動させるボイスコイルモーターの技術から発展したもので、通電した小型のコイルと磁石によって対象物を動かす方式です。

電磁式アクチュエーターの特徴として、部品同士が接触しないため騒音や摩擦が発生せず、部品の寿命が長くなる点が挙げられます。3種類の方式の中でも比較的古くから存在する技術を用いているため製品化されたタイミングも早く、現在のアルプスアルパインのアクチュエーター関連事業における主力商品となっています。

SMA式アクチュエーターは、電気により伸縮する極細のワイヤー状形状記憶合金(Shape Memory Alloy)に通電し、伸び縮みさせることで対象物を動かす技術です。ワイヤーを張り巡らす方向や本数を調整することで、いろいろな方向へ対象物を動かすことが可能となります。
さらに、電磁式アクチュエーターと違い、位置検出にセンサーを必要としないことから、より省スペースで軽量化することができるのが特徴です。
SMA式アクチュエーターは2018年ごろから開発された新しい方式で、すでに量産化にも成功。今後、幅広い分野への応用が見込まれています。

ピエゾ素子式アクチュエーターも、2018年ごろから開発中の新しいアクチュエーターです。ピエゾ素子はセラミックの1種であり、SMAと同様に電気を通すと伸び縮みする特性を持っています。伸縮方向は1方向のみですが、この素子を何枚か重ねることで縦横方向への複雑な動きをさせることもできます。振動に対して強いという特性を持つピエゾ素子式アクチュエーターは、ドローン用のカメラなどさまざまな場所での応用が期待される方式と言えます。

これら3種のアクチュエーターは、いずれもスマートフォンのレンズを動かしてフォーカスを調整するためや、スマートフォン本体を振動させるバイブレーション機能などの感触生成用途に使われています。それぞれ製品の特性やサイズに適した3方式をうまく選択することが非常に重要となります。

ニーズに寄り添い、「より小型に」「より強力に」を追求

スマートフォンといった小型の機材では、部品を入れ込むことができる内部スペースが極めて狭く、組み込む部品は小さければ小さい方が望ましいという需要があります。
アルプスアルパインのアクチュエーターの強みは、小型でありながら精密な動きを実現できる点にあります。現在の主力商品である電磁式アクチュエーターのサイズは10㎜角前後。限られたスペースに収まるよう、コイルと磁石、アクチュエーターの位置を検知するセンサーが詰め込まれています。

カメラの高画素化が進む近年では、より大きなレンズを搭載する端末が増えており、小型でありながらもより力強いアクチュエーターが求められています。
サイズと駆動力(電磁力)が比例する電磁式では、大きいレンズを動かすためにアクチェーター自体のサイズを大型化する必要がありましたが、それぞれワイヤーとセラミックを用いて物理的な力で動作するSMA式とピエゾ素子式では、小型サイズを維持したまま電磁式よりも大きな駆動力を発生させることが可能です。当社では、SMA式に極細線の形状記憶合金(SMA)ワイヤー、ピエゾ素子式に微細かつ正確な動作を実行するアクチェーターを独自開発しています。

アルプスアルパインでは省スペース、軽量化、低コスト、省エネルギーといったさらなるニーズにも応えるため、新しい素材を使用した方式をこれからもリサーチし続けていきます。

さまざまな機器の進化に貢献するアクチュエーション技術

今後、アルプスアルパインのアクチュエーターは、より省電力かつ、より強力なものに進化していくことを目指しています。省電力化、高機能化が進めば、よりスマートフォンのバッテリーを長時間保たせられるようになったり、機材をより小型化出来たりといった効果が見込めます。

これからもユーザーや時代のニーズに合わせて、最適なアクチュエーターを開発し、提供していく。それこそが、アルプスアルパインのアクチュエーション技術の目標です。

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