検出スイッチの故障を防ぐ!ご使用前のチェックポイントをご紹介

定格オーバーが故障原因の6割!

スイッチング過渡期の電圧/電流が定格オーバー

当社の検出スイッチは、スペック表に記載の最大定格/最小定格(抵抗負荷)を想定した設計になっています。
ON/OFFの過渡期に突入電流、過電流、過電圧が発生することにより、定格値を超えるケースがあり、故障の原因となっています。
抵抗負荷回路以外でご使用する場合は最大定格、最小定格値についてご注意ください。

下図は、抵抗負荷とその他の負荷にて発生する、過渡期のオーバーシュート、アンダーシュートの波形例です。設計にあたっては、オシロスコープを用いて検出スイッチのオン/オフ時の波形をチェック頂くようお願いします。オーバーシュートやアンダーシュートのような短時間においても定格範囲内に収まっていることをご確認ください。

接点保護回路のご検討を

定常電流を定格内に設定しても、容量性負荷、誘導性負荷、起動電流を伴う負荷では、何10倍もの突入電流が流れ、絶対最大定格電流を超える場合があります。
その対策として、接点保護回路の追加をご検討下さい。
以下は対策回路の例です。

対策回路
定数 Rは、数10Ω。
Cは0.1μF。
備考 接点間のアークの遮断能力が問題となる場合に採用
対策回路
定数 Rは、誘導性負荷抵抗値同等。
Cは、0.1μF。
備考 CRでの対策回路では、上記よりこちらを推奨
対策回路
定数 ダイオードは、逆耐圧電圧が、回路電圧の10倍。順方向電流が、負荷電流以上。
備考 復帰時間が長い場合は、ツェナーダイオードを更に追加すると改善されます。
対策回路
定数 バリスタのカット電圧Vcは、電源電圧の1.5倍より高い電圧。エネルギー耐量は、1J以上。
備考
対策回路
定数 長い配線を採用した場合に浮遊容量のため突入電流が発生。
制限抵抗10〜50Ω挿入する。
備考 ESD対策で追加する容量に対しても同じ対策が必要です。

※接点保護回路の追加により復帰時間が遅延しますので、動作時間についてはご注意ください

仕様上の確認箇所

製品ページのこちらの箇所をご確認ください。
(例:SPVQ811006のPC画面)

操作体の押し込み過ぎにご用心

過度な押し込みが故障の原因に

下図は、一般的な検出スイッチにおける各位置の名称です。これを用いて、押し込みの設計時にご留意頂きたいポイントをご説明します。

フリーポジション:
オフ時は操作体の位置がA寸法より長くなる位置に設定

スイッチが操作体に常に押し込まれプリテンションがかかった状態では、正確にオンオフを検出できない場合があります。
そのため、フリーポジションの設定時は、スイッチにプリテンションがかからないようAで示すフリーポジションの距離より長く設定してください。

位置の決め方
フリーポジションの設定:Aより長く設定
※フリーポジションでは、スイッチにプリテンションがかからないように注意してください。

フルストローク距離:
オン時は操作体をB寸法とC寸法の中間位置に設定

オン時はオン-オフ切換位置となるB寸法と動作限界位置(LTTP)Cの寸法間に操作体を設定する必要があります。
オン時の押し込み位置がB、C寸法公差に注意して下図の赤線を目安に設計してください。(ここでは便宜上オプティマムポジションと表現)

位置の決め方
オプティマムポジションの設定:オプティマムポジションはBとCの間になるので、この中間位置で設定してください。(B+C)/2
B寸法(オン-オフ切換位置)、C寸法(動作限界位置)については公差があるため、それぞれ考慮する必要があります。

スイッチの押し込み位置がC寸法の動作限界位置(LTTP)よりも深く押し込むと故障の原因になります。

※故障の原因になるためフルストロークはC以下に設定しないでください。

フルストロークは、基準点から見てCの距離よりも長く設定して下さい。検出スイッチと組み付け側の公差を考慮し、最適な設計をする必要があります。

SPVQ810102の例

FREE POSITION: 7.6mm
ON-OFF POSITION: 7.1mm
LTTP(LIMIT TOTAL TRAVEL POSITION):5.4mm
フリーポジションの設定
7.6mmより長く設定
注意:詳細の設計には検出スイッチ本体の公差や組み付け公差、押し込み量の公差を考慮して設計してください。
オプティマムポジションの設定(押込み位置)
(5.4+7.1)/2=6.15mm
仕様上の確認箇所

製品ページのこちらの箇所をご確認ください。
(例:SPVQ811006のPC画面)

組み付け用の正しい治具設計を

組み付け時の不具合要因➀ スイッチ取り付けプレートの設計

スイッチ取り付けプレートが正しく設計されていないと、圧入時に端子折れや変形による故障が発生するケースがあります。

スイッチ取り付けプレートの端子長さ設計ミスにより、組み付け時にスイッチ取り付けプレートのターミナルとフォーク端子が接触。
さらに上方向へ押し上げるようにスイッチのフォーク端子が変形。フォーク端子の変形はスイッチ内部の接点機構に影響するため、故障する場合があります。

スイッチ取り付けプレートが合わず端子変形した例

スイッチ側端子の腹部にプレート端子先端が接触
スイッチ端子がプレート樹脂に接触

スイッチ取り付けプレートのターミナル先端がスイッチのフォーク端子に接触しないよう各部品の公差に注意して設計してください

設計支援データとして、スイッチ取り付けプレートの3DデータをHPにて提供しています。圧入時の端子故障を防ぐため、設計の参考にご利用ください。

治具図面の例(SPVQ811006用)

組み付け時の不具合要因② スイッチの圧入

スイッチを斜めに圧入し組み付けすることにより、端子の変形や故障につながるケースがあります

スイッチのフォーク端子が変形した例

取り付けプレートとスイッチのフォーク端子が嚙み合わない状態で圧入したことで、端子の先端部が変形
取り付けプレートとスイッチのフォーク端子が嚙み合わない状態で圧入したことで、端子の曲げ部が変形

スイッチをスイッチ取り付けプレート(下図PLATE)に組み込む際に斜めに圧入されたため、フォーク端子がスイッチ取り付けプレートのターミナルと噛みあわずスイッチのフォーク端子が変形。フォーク端子の変形はスイッチ内部の接点機構に影響するため、故障する場合があります。スイッチに取り付ける時は取り付けプレートとスイッチのフォーク端子が変形しないように噛み合わせに注意してください。

組み付けには治具の使用をご検討ください

スイッチを固定部材(右図PLATE)に組み込む際は、スイッチのボディー(Surface B)だけではなく、端子(Surface A)も押しながら組み込む必要があります。
治具を作成することで簡単にボディと端子を押しながら実装することができるため、治具の使用を推奨します。
設計支援データして、装着用治具「L shape tool」の3Dデータを当社WEBサイトにて提供しています。 治具設計時の参考にしてください。

装着用治具「L shape tool」概念図(SPVQ811006の例)

仕様上の確認箇所

製品ページのこちらの箇所をご確認ください。
(例:SPVQ811006のPC画面)