繊細な「力」を 捉え、制御の質を高める2つの先進事例からわかった、
フォースセンサー(HSFPARシリーズ)がもたらす新たな価値
ロボットや医療機器など、高度な制御が求められる機器において「どの程度の力で触れているか」「接触した瞬間を正確に捉えられているか」は、制御 性や安全性、さらには製品の性能を大きく左右します。従来、こうした高度な制御が求められる機器の開発では、設計者の経験や感覚 に委ねられることも多く、製品設計や制御における課題の一つとされてきました。
アルプスアルパインのフォースセンサー(HSFPARシリーズ)は、こうした課題を解決するために開発された、微小な力の変化を高精度に検知できるセンサーです。薄型・小型の構造を特長としており、スペースに制約のある機構部にも組み込みやすく、既存設計への影響を最小限に抑えながら力の情報を取得することが可能です。
人が「押す」「触れる」「つかむ」といった動作を行う際には、接触の瞬間や力の変化が連続的に発生しています。フォースセンサーは、こうした繊細な力の変化をリアルタイムかつ連続的に捉えることで、従来のように特定のタイミングやしきい値で判断する離散的な制御から、力の変化そのものを扱う連続的なデータに基づく制御へと発想を転換します。これにより、制御の再現性向上や個体差の低減といった効果が期待されます。
このような特性から、ロボットアームの指先、医療機器の可動部といった分野では活用に向けた検討が進められており、入力デバイスの分野ではスタイラスペンなどでの採用実績 があります。人の感覚に近い力制御が求められる用途を中心に、活用領域は広がりつつあります。
姿勢・動作制御に
反映した描画
以下では、フォースセンサーが実際の製品やシステムの中でどのように活用されるのか、ロボット分野および医療機器分野の先端事例を通じてご紹介します。
本事例が、皆さまの製品開発や新たな用途検討のヒントとなれば幸いです。
ロボットメーカーR社 様
ロボットアーム指先へのフォースセンサー搭載で「物を感じる」把持制御を実現。
産業用ロボットのロボットアームを開発するR社では、部品を把持する工程において、指先での把持力制御が課題となっていました。位置制御やモーターの負荷電流検知を 用いた従来の方式では、部品に触れた瞬間や、実際にどの程度の力がかかっているのかを正確に把握することが難しく、把持力を強めると部品を破損し、弱めると掴み損ねてしまうといった問題が発生していたのです。
特に、形状や硬さにばらつきのある部品を扱う工程では、一定の条件で制御することが難しく、人の指先のように「触れた感覚」をもとに力を調整できる仕組みが求められます。しかし、ロボットアームの指先部分はスペースに制約があり、大型のセンサーを追加することや、構造を大きく変更することは現実的ではありませんでした。
そこでR社では、指先部への組み込みを前提に、薄型・小型構造で微小な力の変化を検知できるフォースセンサー(HSFPARシリーズ) に着目。フォースセンサーを用いることで、接触の瞬間や把持中の力の変化をリアルタイムで取得できる可能性があり、把持力制御の高度化につながるセンサーとして評価が進んでいます。
このフォースセンサーにより、接触を検知した上で把持力を調整する制御が可能となれば、部品破損の低減や把持動作の安定化が期待できます。ロボットが単に「物をつかむ」だけでなく、「物を感じながらつかむ」動作の実現に向けた検討が本格化しています。