産業機器メーカーR社

過酷な現場でも止まらない操作性を実現
密閉構造で信頼性と500万回の長寿命を両立したタクトスイッチ®

産業機器メーカー
部署:
制御機器設計部

背景

工作機械や検査装置などで、連日フル稼働している制御パネルの設計・製造を手がけるR社。多品種小ロット生産で頻発する段取り替えに伴う操作時間の増加や、粉塵、油分を含む過酷な現場では接点不良や操作性の劣化が多発。一方で、工作機械や検査装置の長寿命化も進めたいなど、設計面での改善要求が高まっていた。

課題

防塵すると操作性が落ち、操作性を取ると寿命が足りない…設計が行き詰まる状況に。
R社の制御機器は、日常的に切削粉や油煙が舞う生産現場で使用されており、スイッチ内部への粉塵侵入による接点不良が頻発していました。異物の影響でスイッチの反応が鈍くなったり、押した感覚が不安定になったりするという現場からの報告が相次ぎ、保守対応の手間も増えていたのです。

課題のポイント
  • 粉塵侵入による接点不良が頻発し、クレーム対応が増加していた
  • 防塵性と操作感、耐久性の両立が困難で、設計改善が行き詰まっていた
  • 短期間で信頼性を証明できる代替品を見つける必要があった

制御機器設計部では、防塵性を高めるためにケース形状やパッキン素材の変更などを試みましたが、操作感や押し心地を維持したままの改善は困難でした。通気性を確保する構造では異物侵入のリスクが残り、逆に密閉度を上げると押下感が重くなるという課題がありました。押下感が重くなりすぎると作動力が過大となり、現場作業での連続操作に支障を生じる懸念も生じます。N氏は、軽すぎず重すぎず、適切な作動力を保つことを重要な設計要件としていました。

設計担当のN氏はこのように振り返ります。
「防塵性と操作感、どちらも犠牲にすることはできません。構造そのものを見直す必要がありました」
さらに、内部構造の補強を進めると押下荷重が増し、感触が硬くなる一方で、押下時の感触の明瞭さが損なわれる傾向も見られました。また、寿命の面でも500万回という高い要求水準を満たせず、耐久性の不足も課題です。定期的なスイッチ交換によるメンテナンスコストも無視できず、長期的な運用面での改善が急務となっていました。

さまざまなスイッチを比較検討しましたが、N氏が求める作動力と寿命回数を満たす製品はなかなか見つかりませんでした。納入スケジュールが迫る中、N氏たちは打開策を見いだせないまま、方針を固められずにいました。