筐体サイズの変更なしでストローク感を高められたのはなぜか
操作性と耐久性を同時に引き上げた設計改善を振り返る
- 部署:
- 機構設計部
解決
独自開発のラバーステム採用で、スペース制約を超えた操作性と耐久性を両立。
新しいスイッチを模索していたM氏は、以前から取引のあったアルプスアルパインの営業担当に相談しました。そこで提案されたのが、ステム材料をハード樹脂からシリコーンラバーへ変更したというSKSNLP(サイドプッシュタクトスイッチ®)です。
「ラバーステムを使えば、ストロークを深く取れない制約の中でも押し心地を改善できるはずだと説明がありました。これまで解決できなかった課題に、新しいアプローチの可能性を感じましたね」(M氏)
- 解決のポイント
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- ラバーステムを用いたことでストローク感と衝撃吸収を両立
- ミッドマウント構造により落下衝撃への耐性も向上し、従来比約75%の強度向上
- 100万回の打鍵寿命を維持しながら、しっかりとしたストロークを実現
早速、試作サンプルを既存筐体に組み込み、操作感の評価を行いました。押下時の感触が明確になり、操作性が改善。ストローク量を従来比で約15%拡大(0.2mm→0.23mm)しながらも、筐体サイズの変更は不要でした※1。
従来品と比べ、ストローク量の増加を実現
さらに、ミッドマウント構造によって基板面で押圧力を受け止められるようになり、落下衝撃強度は従来比約75%向上※2。100万回の打鍵寿命を維持しながら、しっかりとしたストロークと衝撃耐性を両立することに成功しました。
「押した際の手応えがはっきりして、誤入力が減りました。これならユーザーも満足してくれるはずです」(M氏)
機構設計部では短期間で複数回の試作・評価を重ね、感触評価や組み込み条件の最適化を並行して進めました。導入後は、ユーザーから「ストロークの深さが心地よい」「操作が安定した」といった好評が寄せられ、SNSやレビューでも操作性の改善が高く評価されたのです。
P社ではこの成果を踏まえ、携帯端末やコントローラーなど、小型筐体で高い操作性が求められる他製品への採用を検討。SKSNLP(サイドプッシュタクトスイッチ®)は、限られたスペースでも操作性と耐久性を両立するスイッチとして、次世代の設計に新たな可能性をもたらしました。
※1、※2:従来比は当社(アルプスアルパイン株式会社)製品内での比較に基づく評価値です
この課題を解決した製品・ソリューション
タクトスイッチ® サイドプッシュ ロングストロークタイプ
SKSNLPE010 標準タイプ
| 外形 | 7.5 × 4.07mm |
|---|---|
| 高さ | 3.5mm |
| 作動力 | 1.6N |
| 移動量 | 0.23mm |
| 耐久寿命 | 1,000,000回 |