ゲーミングPCメーカーP社

小型筐体でもしっかりとしたストロークを実現
ラバーステムで操作性と耐久性を両立したサイドプッシュタクトスイッチ®

ゲーミングPCメーカー
部署:
機構設計部

背景

ポータブルゲーミングPCの高性能化が進む中、操作満足度向上のためボタンの感触改善に着手したP社。しかし、筐体スペースは限られており、既存スイッチではストロークが短く、落下破損も懸念されていた為、ユーザーの声を受けて再設計に踏み切った。

課題

限られた筐体スペースの中、ストロークの長さを確保できなくて…
ゲーム中のわずかな操作ズレがプレイ体験を左右する中、ユーザーからは「押したつもりが反応しない」「軽く触れただけで誤入力してしまう」といった不満の声が上がっていました。確認を進めたところ、現状品では操作ストロークが短く、押下時の手応えが弱いことが原因だと考えられました。

課題のポイント
  • ストロークが浅く、押下時の手応えが弱かった
  • ストローク量を増やすための構造変更は部品干渉リスクを伴った
  • 操作性と耐久性の両立が難しく、安定した設計にたどり着けずにいた

設計を担当する機構設計部のM氏は、このように語ります。
「ゲーム機器の操作ボタンは、確実に操作した事がユーザーに伝わる明確な感触が必要です。そのため、もう少しストローク感を出したいのですが、構造的に余裕がありませんでした。しかも、ほんの0.1mm動かすだけで感触が変わるので、調整が非常にシビアなのです」

筐体内部は限られており、ストロークの長さを確保するために部品配置を変更すると、他部品との干渉リスクが生じます。また、素材やバネ構造を調整しても、部品のわずかな寸法誤差で操作感が変わりやすく、量産段階で安定した感触を維持することが課題となっていました。

加えて、実装条件やボタンキャップの材質によっても押下荷重が微妙に変化し、試作品ごとに感触が異なる現象が発生。スイッチ単体だけでなく筐体全体を考慮したアプローチが必要だったのです。さらに、落下試験ではスイッチ破損や導通不良が確認され、衝撃に対する耐性の向上も避けて通れない課題でした。

限られた筐体スペースの中で、操作性と耐久性をどう両立するか。新製品開発のスケジュールが迫る中、機構設計部は既存構造の限界を超える新しいスイッチの探索を迫られていました。