
信頼性・耐久性・フェイルセーフ対応を1つのスイッチで実現!
次世代モジュール設計を支える“車載対応2回路 タクトスイッチ® ”という選択
- 部署:
- 設計開発部
背景
車室内の操作系モジュール設計・製造に定評がある部品メーカーのK社。操作スイッチの信頼性はドライバーの安心感に直結するが、近年はクルーズコントロールなど先進運転支援システム(ADAS)との連動も進み、一つの誤作動が大きな事故につながるリスクが懸念されていた。
課題
高まる安全要求と限られた設計自由度の中、K社は厳しい選択を迫られていました。新たに手がける次期車両モデルにおいて、OEM(完成車メーカー)からは「電装系のバイワイヤー化が進む今、入力装置にはこれまでにない冗長性と小型化を両立してほしい」という強い要望が提示されていたのです。
- 課題のポイント
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- 単回路スイッチでは冗長性が担保できず、安全要件を満たせなかった
- スイッチ2個構成では操作タイミングのズレや設計の複雑化が生じていた
- 冗長性・操作性・サイズのバランスが取れた2回路スイッチが見つからなかった
設計開発部のS氏はこう語ります。
「従来、当社では車室内モジュールのスイッチ構成に単回路のタクトスイッチ® を採用してきましたが、万一の導通不良時に信号のバックアップ経路が存在しないことが課題視されていました。特にADASとの連携が進む中、1回の誤動作も許されないシビアな設計環境においては、システム側だけでなく入力機構にも明確なフェイルセーフ性が求められていたのです」
K社では、対策としてスイッチを2個組み合わせた冗長構成も検討しました。しかし、クリック感触、やONタイミングのズレといった問題が浮上。操作感の不統一によってドライバーに違和感を与えるリスクがあり、採用には至りませんでした。
加えて、車室内のモジュールには限られた空間に多くの機能を実装する必要がありました。冗長性を高めたい一方で、物理的なスペースにも制限があり、2個のスイッチでは収まりきらないという矛盾が設計をさらに難しくしていたのです。
また、K社の開発プロセスにおいては、スイッチ単体の耐久性や動作信頼性、温度・振動ストレスへの耐性など、車載部品として必要な性能要件を満たしていることを数値で示さなければ、社内承認が得られません。
S氏らは各条件を備えた代替品を探しますが、冗長性・操作性・サイズのバランスが取れたものは見つからず、チーム内でも半ばあきらめムードが漂っていました。