トピックス

小型・高効率の電力変換モジュールを実現

パワーエレクトロニクス

独自材料による小型・高効率に加え、ニーズを先取りした
プラットフォーム設計も行う、アルプスアルパインの取り組み。

さまざまな産業とインフラ、ビジネスや日々の生活を途切れることなく支える電力のマネジメントは、現代社会においてますます重要性を増しています。日本政府によるエネルギー基本計画では、取り組むべき課題として「3E+S」を提唱。エネルギーの安定供給(Energy security)、経済効率性(Economic efficiency)、環境への適合(Environment)、そして安全性(Safety)をバランスよく満たしていくことが求められています。
そこで注目されているのが、「パワーエレクトロニクス」の技術です。電力の変換と制御をつかさどることで、より効率的で安定したエネルギー供給を実現するとともに、温暖化対策などの環境問題への貢献も期待されています。省エネや創・畜エネ市場の急速な拡大、災害や非常事態などのBCP*/LCP*対策、エコカーの普及といった社会のニーズに対応すべく、利便性や市場性を高めた次世代パワーエレクトロニクス製品が多くの分野で待ち望まれています。

*BCP: Business Continuity Plan (事業継続計画)
*LCP: Life Continuity Plan (生活継続計画)

多彩な領域へ広がるパワーエレクトロニクス

パワーエレクトロニクスへの取り組み

車載製品や民生機器で培ってきた技術とノウハウを活かし、アルプスアルパインはパワーエレクトロニクス分野に参入して独自の取り組みを進めています。なかでも力を注いでいるのが、蓄電システム、電気自動車やプラグインハイブリッド車の充放電システム、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの領域です。
そこで展開している「電力変換モジュール」は、2つの電力変換装置と制御ボードで構成されており、パワー半導体にはトレンチ構造のSiC-MOSFET、自社開発の磁性材料リカロイ™を用いたコイルを採用。高効率を維持しつつ小型・軽量化を実現しました。アルプスアルパインは取り扱いが難しいとされていたSiC MOSFETをいち早く導入し、性能や信頼性において市場での実績を積み重ねています。

独自材料リカロイ™とSiC-MOSFETで実現
従来比1/3サイズの小型化と95%の変換効率

次世代パワーエレクトロニクス製品は技術的な要件として、多彩な機器に搭載できることを前提として、優れた省エネ効果を発揮するように、さらなる小型化と電力損失の低減が求められていました。アルプスアルパインの電力変換モジュールは、独自材料リカロイ™により、画期的な小型・高効率を実現しています。
リカロイ™は、凝固点で結晶化を始めない“過冷却液体領域”を持ったアモルファス素材です。その優れた特性として、①低鉄損(コアロスが少ない) ②高い飽和磁束密度 ③容易な粉末化 ④高温下での安定性、などが挙げられます。下の図のように、他のコア材と比べても高周波スイッチング領域での損失が極めて低く、また磁性材料としてよく用いられるフェライト等より高い飽和磁束密度で、パワーエレクトロニクス製品の小型化に適しています。

低温から高温まで安定した特性を維持

Characteristics remain stable in low to high temperatures

表 <コア材の飽和磁束密度とコアロス>

飽和磁束密度 Bs(T) コアロス
(kW/m³@100kHz-100mT)
リカロイ™ 1.1 200~400
Fe-Ni (ハイフラックス) 1.35 550~1100
ケイ素鋼板 1.55 1400~2100
MnZnフェライト 0.35~0.5 100~

この高速スイッチングの状況下でのリカロイ™の特性を活かし、アルプスアルパインの電力変換モジュールではSiC-MOSFETを採用してコンデンサやインダクタを小型化。充電と放電を一体化した双方向の電源回路の効果相乗により、従来製品との体積比で約3分の1という大幅なダウンサイジングに成功しました。さらに、アルプスアルパインでは従来から培った高周波スイッチングの制御ノウハウにより品質安定性を担保するとともに、小型・軽量化と相反する効率性も追究し、95%以上の高い変換効率を維持しています。 その結果、使い勝手の良い設計レイアウトが可能になり、搭載機器のスリム化・コンパクト化に貢献します。これにより、例えば電気自動車/プラグインハイブリッド車用の充放電システムをスリム化し、駐車スペースの拡充や代替スペースの有効活用などの効果が期待できます。

リカロイ™のさらに詳しい情報はこちら
トロイダルコイルの製品ページ
パワーインダクタの製品ページ

お客様のニーズを先取りするプラットフォーム設計

アルプスアルパインのパワーエレクトロニクスへの取り組みは、製品の機能追究や材料技術だけではありません。お客様視点での利便性も重視し、電力容量1.5kW~5kWの用途に対して、電力変換回路の基本プラットフォームを6種類ご用意しています。インバータ回路は、単相二線式DC-ACインバータ、単相三線式DC-ACインバータ、三相三線式DC-ACインバータの3種類。コンバータ回路は非絶縁型の双方向DC-DCコンバータ、絶縁型の双方向DC-DCコンバータ、MPPT*付のDC-DCコンバータの3種類をラインアップ。用途に合わせてこれらのプラットフォームから最適なものをお選びいただくことで、開発のリードタイムを短縮し、初期費用を抑えることができます。

*MPPT:Maximum Power Point Tracking(最大電力点追従制御)

電力変換モジュールをはじめとするアルプスアルパインのパワーエレクトロニクス製品は、蓄電システム、電気自動車/プラグインハイブリッド車の充放電システム、太陽光発電用のパワーコンディショナ、燃料電池システムなど、多彩な製品に採用され活躍の場を広げています。これからも独自材料を活かした製品力、お客様に寄りそう提案力をもとに、当社ならではのソリューションをさらに突き詰めてまいります。