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接着剤レスの接合法を開発

マイクロ流路プレート

接着剤レスで
高強度・高耐圧の接合を実現した
積層構造の「Senclear™」と
カラム内蔵の「Coluful™」。

定評ある微細加工技術を応用した
ソリューション

日本はもとより世界中の国々で、糖尿病をはじめとする成人疾病患者とその予備軍が増え続けており、医療費の負担が大きな課題となっています。承認までに膨大な時間と費用を要する創薬(新薬)分野や、バイオをはじめとする最先端医療に対応する新たなデバイスの開発が求められています。アルプスアルパインはヘルスケア分野で、これらの要求に応えるソリューションを展開しています。長年にわたり培ってきた金型や成型などの微細加工技術を応用したマイクロ流路プレートで、積層構造の「Senclear™」とカラム内蔵の「Coluful™」を開発しました。

2つの流路デバイスは、機器の小型化、検査・分析工程の効率化と迅速化を実現するものです。さらにこのソリューションには、アルプスアルパインだけの革新的な技術、マイクロ流路プレートのまったく新しい接合法が採用されています。

接着剤レスで高強度・高耐圧の接合法

アルプスアルパインのマイクロ流路プレートは、材料にCOP(シクロオレフィンポリマー)を使用しています。COPはガラスに近い特性から、レンズなどの光学系部品にも用いられる樹脂プラスチックで、低い自家蛍光、優れた透過率、低タンパク吸着、高強度、ディスポーザブル対応、高い量産性など多くのメリットを備え、流路プレートに最適な材料です。しかし、成型表面が撥水状態になることから接合が難しいという問題があり、各社が対応に苦慮していました。この難題をクリアしたのが、アルプスアルパインが独自に開発した接合です。

独自技術で接合したマイクロ流路プレート

流路断面SEM像

この技術では、厚さ1mmのCOPプレートを一度に7枚まで接合することができます。そして、接着剤を使わず高強度・高耐圧性を実現しているのが最大の特徴です。接着剤を使用した場合、成分がわずかでも溶出して検体に混入すると、毒性の問題などを含め正確な測定結果が得られなくなってしまいます。アルプスアルパインの接着剤レス接合プレートは、まるで削り出しのように一体化した構造で、コンタミネーションの不安がありません。高度な金型技術によるミクロンレベルの精度を維持しながら、圧倒的な強度を誇り、内圧10MPaの耐圧性能を実現。血液など液体の検体を扱う流路で「はがれない」「割れない」「漏れない」ことで完全クローズドなデバイスとしての機能を果たし、検査・分析の高い信頼性を担保します。アルプスアルパインはCOPという優れた材料に特化して、独自の技術で業界初のソリューションを確立しました。

創薬開発や最先端医療へ広がる
「Senclear™」

マイクロ流路プレート「Senclear™」は、それぞれの用途に合わせた流路構造設計と、接着剤レスによるプレートの積層構造により、3次元の流路を構成できるデバイスです。混合・合成・反応・精製・分離・単離・分注・抽出・濃縮・増幅・希釈・検出など、必要なプロセスを選んで組み合わせることができます。また、プレート内に各種電極・絶縁体・保護層を埋め込んで配線することにより、電気検出測定にも対応。電極はカーボン・白金・銀・塩化銀を用いて、豊富なバリエーションを展開できます。
「Senclear™」は検査・分析作業を迅速化・効率化するとともに、研究開発から臨床、認可承認まで膨大な時間と費用が必要となる創薬では、トランスレーショナルリサーチの大幅な短縮とコスト低減に貢献します。さらに、IPS細胞などの再生医療やバイオ医薬品など、最先端領域への活用が見込まれています。

積層構造 マイクロ流路プレート「Senclear™」

LC機器を小型化、予防医療に貢献する
「Coluful™」

そして、マイクロ流路プレートの展開例として開発したのが、疾病検査用のLC(リキッド・クロマトグラフィ)機器などで使用されるカラムを内蔵した「Coluful™」です。カラムの材料には、京都モノテック社と共同開発したシリカモノリスを採用。従来の粒状材料と比べて空孔が大きく反応面積を広く取ることができるので、小さくても大型機器のカラムに匹敵する機能効果を発揮します。

少ない検体と試薬溶媒(バッファー)での検査分離・分析が可能になり、さらに1MPa以下の低圧送液に対応するので、LC機器の小型化と検査の迅速化を実現。カラムプレートはカートリッジ式で取り扱いが簡単、専用のオペレータが手動で行っていたカラム交換の自動化を可能とします。

アルプスアルパインでは「Coluful™」の特性を活かした、疾病検査用LC機器の小型・軽量デモ機を開発しました。大型機器では管状だったカラムをプレートに収めるとともに、シリカモノリスの低圧送液性を活かすことで高精度に分離可能な小型機器を実現。従来機器に対して設置面積が約1/5、体積が約1/10で、卓上に設置できるコンパクトサイズとなっています。これまで大規模な医療機関に限定されていた機器を、地域のクリニックや医療機関でも導入することが可能になり、医療費の負担を軽減する予防医療の裾野を広げます。

アルプスアルパインのマイクロ流路プレートは、精度の高いPOCT(ポイント・オブ・ケア・テスト)=即時診断を実現し、定性診断ではなく、医療医薬の現場で求められる定量性診断を可能にします。疾病検査から創薬開発、最先端医療まで、未来へ向けてさまざまな可能性が広がるソリューションです。