技術情報

車室内の音を自在に演出する

サウンド技術

音を自在にコントロールして、
感動の移動空間を作り出すサウンド技術。

車載音響のスペシャリストとして、豊富な実績を誇るアルプスアルパイン。国内外のさまざまな自動車メーカーにOEM製品を供給するとともに、ALPINEブランドで多彩な音響製品を展開してきました。その年の最も優れたカーオーディオ製品を選出するAuto Sound Web Grand Prixでは、2010年から2019年までの10年間に最高位のGoldを7度獲得。米国のCES Innovation Awardsや自動車メーカーのサプライヤーアワードを数多く受賞するなど、高い評価をいただいています。
国内外に多くの車載音響メーカーがあるなかで、ドライバーと自動車メーカーのお客様に選ばれるためには、「我々の音はこうである」という明確な答えがなければなりません。アルプスアルパインのサウンド技術の根幹となっているのは、車室内で「音をコントロールする」という哲学。ハードウェアからソフトウェア、サウンドチューニングまでを一貫して手がけ、乗る人すべての心に響く感動の移動体験を生み出す取り組みを行っています。

車室内の特性を熟知した
ハードウェア技術

あらゆるシーンで高音質を再現し、車室内を豊かな音響環境に仕立てるハードウェア技術。その中心となるスピーカーでは、「広帯域」と「低ひずみ」に着目した開発を行っています。車室内はオーディオルームやリビングとは違い、音響にとって決して理想的な空間ではありません。スピーカーを置く場所にも制限があり、音を再生する帯域を広く取らないと設置場所の悪影響を受けてしまいます。さらに車室内は音の反射や吸音などの特性が一定ではなく、スピーカーにひずみがあるとイコライザーフィルター等による補正が有効に機能しなくなります。アルプスアルパインの代表的なテクノロジーである「ダブルギャザードエッジ」や「DDリニア」は、ともにひずみを抑え、音源に込められた情報を余すことなく再現します。そして、一部の高級ホームオーディオにしか採用されていなかったカーボングラファイトや、最新の微細加工技術によるナノファイバーを用いた振動板は、広帯域を実現して繊細な音のニュアンスまで引き出します。

さらに、音質を根本から向上させるべく、各製品を構成するコンポーネントの自社開発も手がけています。最高音質のハイレゾを生み出すため世界初の技術を採用したパワーIC、不純物のまったくない真空環境で蒸着したフィルムコンデンサーをはじめ、最先端の技術を注いだ専用部品を開発しています。アルプスアルパインは電気回路の特性を知り尽くし、最適な効果を発揮するハードウェアを追究し続けています。

音響環境をデザインする
ソフトウェア技術

車室内の音響環境を自在にデザインして、高音質を支えるソフトウェア技術。アルプスアルパインの信号処理技術は、音楽信号をきれいに増幅して出力するピュアオーディオと同じ発想ではなく、車室内の一定しない条件に合わせて最適な補正を施す、車載音響ならではの機能を追究しています。
そして、高度な音場/音響処理を実現するテクノロジーも開発しています。アダプティブサウンドテクノロジー「RoadEQ」は、毎秒48,000回の超高速処理と20msのノイズ追従速度を実現。路面状況やエンジン、エアコンなどにより、走行中に目まぐるしく変化するノイズ環境を解析して周波数バランスを補正します。デジタルサウンドテクノロジー「MediaXpander Plus(MX+)」は、MP3などの圧縮された音源やメディアで失われた高域成分を補完し、音の厚みや奥行き感を再現します。料理で言えば素材の持ち味を生かす“ソース”にあたるソフトウェア技術、車室内の音をコントロールするために欠かせないものです。

音を最適に仕上げる
サウンドチューニング技術

ハードウェアとソフトウェアが生み出す高音質を受けて、車室内の音場を最適化して送り出すのがサウンドチューニング技術。この総仕上げの段階では、スペシャリストであるサウンドマイスターとサウンドエンジニアが力を発揮します。サウンドマイスターは音響設計の高度なノウハウをもとに、人の官能領域までをマネジメント。アルプスアルパインにふさわしい音に仕上げるべく、サウンドパラメータを綿密にチューニングします。
そして、サウンドエンジニアはドイツや米国に常駐するなどグローバルに活動し、OEM開発の際にはお客様の要求にきめ細かく応え、音場をまとめ上げるチューニングを行います。自動車メーカー各社から大きな信頼を得て、当社サウンドの顔ともいうべき存在となっています。

新たなサウンド領域への取り組み

CASEなど自動車産業の変革に伴って、サウンド事業が取り組む領域も拡大しています。そのひとつが電気自動車やハイブリッドカーに搭載が義務づけられた車両接近通報装置。アルプスアルパインの「eSound」は電子基板を備えているのが大きな特徴で、決まった音のみを発生させる他社のシステムとは違い、サウンドを自在に作り込むことが可能です。音をコントロールする取り組みは、車の中だけでなく外にも広がっています。エンジンのこもり音など走行中のノイズを逆位相の音をスピーカーから出して打ち消す、アクティブノイズコントロールも展開しています。
そして、サウンド技術の可能性をさらに広げていくため、人の聴覚にどうアプローチするかをテーマに、大学と連携した共同研究を進めています。人間の五感についてのさまざまな知見を蓄積する、アルプスアルパインの全社を挙げた取り組みのひとつです。

コンポーネント開発から手がけるハードウェア、高度なソフトウェア、熟練のサウンドチューニングまでを一貫して行い、車室内の音をコントロールするアルプスアルパインのサウンド技術。これからも独自の強みを活かし、より豊かで感動に満ちた移動空間を創出していきます。