技術情報

上質・快適な車室内を彩る

ディスプレイ&意匠技術

CASEなど新時代への対応が加速する自動車業界では、上質で快適な移動空間の要求がますます高まっています。アルプスアルパインはこれまで、カーナビをはじめディスプレイ領域で多くのOEM製品と自社ブランド製品を展開。デザインアワードをはじめとする国内外の賞を多数受賞するとともに、J.D.パワージャパンによる日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査では2019年度まで8年連続で総合満足度No.1に選出されるなど、性能とデザインの高さ、使い心地の良さなどが認められています。ディスプレイを通して車室内を上質・快適に仕立てるためのさまざまな要素技術と、アルプスアルパインの取り組みをご紹介します。

車内デザインと調和させる多彩な技術

車室内のディスプレイや操作パネルを上質にまとめ上げる意匠開発を、アルプスアルパインは長年にわたり手がけてきました。その開発理念は、主役はあくまで情報であり、ディスプレイと関連製品は黒子であるというもの。情報伝達という機能にまず軸足を置き、いかに情報を引き立たせながら車内デザインと調和させるかを徹底して追究しています。そのために力を発揮するのが、絶え間なく磨き上げてきた多彩な要素技術です。

そのうちの一つである成型技術では、さまざまな目的やイメージを具現化するアウトプットをそろえています。ダッシュボードのデザインは昨今、シンプルな直線のみの構成ではなく、異形化を含めたよりフレキシブルな造りこみが求められています。こうしたニーズに応えるべく、当社では滑らかな曲線やエレガントな三次元曲面、エッジの効いた鋭角的なラインや凹凸をつけた表面などの高度な処理技術を追求。さらに、光沢や艶消しをはじめ多様な表面加工、意匠開発の自由度を高めるフィルムインサート成型とインモールド成型により、ナビゲーションだけでなくメータークラスターなどを統合した大型ディスプレイの一体成型も可能としています。

そして、ディスプレイユニットの製造においては、自動化された高精度組立設備と検査機器に加えて、自社内のクリーンな環境内で一貫生産を行っています。
ここでは、豊富な設計ノウハウをもとにした高画質映像回路技術・ユニット構造技術・光学表面処理技術を注ぐとともに、光の反射や映り込みを抑えて日中でも優れた視認性を確保するオプティカルボンディングにより、視認性の高い画面づくりを推進。安心・快適な移動を支える車載ディスプレイの役割に合わせて、安全への配慮や操作性、デザイン性、質感の高さをトータルに追究しています。

これらの技術力とともに、アルプスアルパイン独自の強みとなっているのが、お客様に寄り添い、さまざまな要求に応えていく取り組みです。ディスプレイ関連のOEMは、国内・海外ともに長くお付き合いいただいている自動車メーカーが多いのが特徴で、確かな信頼関係を築き上げてきました。高級車に求められる高度な要求や難易度の高い課題にもしっかりと向き合い、培ってきた要素技術を駆使しながらソリューションをご提供していくのが、私たちの基本姿勢です。

車室内のトレンドに対応

OEMと市販製品開発の豊富なノウハウをもとに、アルプスアルパインでは車室内のトレンドに応えるさまざまな取り組みを進めています。たとえばこれからのトレンドとなることが予想される車室内のフラットデザイン化や画面の大型化に向けては、継ぎ目のない一体成型、およびインテリアと調和するエッジレスディスプレイやデッドフロントパネルなどの試作提案を行っています。また、従来アルパインが培ってきたこれらの要素技術に加えて、金属のヘアラインや木目など素材の質感まで表現する加飾印刷、必要な時だけスイッチのアイコンが浮かび上がるステルス照光、振動によるフィードバックなど、アルプスカンパニーが保有するHMIの技術を複合した独自の提案も進めています。特に、高感度ICを用いた静電容量デバイスは、従来のタッチ入力だけでなく手の近接検出や空間ジェスチャー操作も可能に。これらのHMIと意匠開発を組み合わせたソリューションは、今までにない車室体験をユーザーにもたらします。

タッチインプットモジュール

アルプスアルパインの経営統合によるシナジーが生んだこの入力デバイスは、アルパインカンパニーのディスプレイ操作技術(GUI)と、アルプスカンパニーの静電容量技術/フォースフィードバック技術を組み合わせたもの。高感度静電センサと独自のASIC設計が精度の高い入力を可能にして、さらにフォースフィードバック技術で指先にスイッチを押したような操作感覚を与えます。また、自動運転から手動運転へ移行する際に、ドライバーの体勢に合わせてモニターと操作部の位置が切り替わる機能も搭載。快適で高級感のある移動環境を創出します。

定評ある可動機構設計技術

ディスプレイのデザインや機能性以外の領域で卓越した強みを持つのが、可動機構の設計です。ドライバーとパッセンジャーが高級感や心地よさを感じるためには、目に見える美しさだけでなく駆動音や動きといった要素も重要です。世界的に人気を博した1980年代の6枚CDチェンジャー「5952」を皮切りに、当社ではナビシステムの可動ディスプレイやフローティングルーフ、リフトアップスピーカー等の開発を通じて可動機構のノウハウを積み重ねてきました。これらの限られた搭載空間のなかで、移動・収納するメカ機構の設計において、当社では静かで品位のある作動にもこだわっています。こうした取り組みを通じて、車室内に付加価値をもたらす「Premium HMI」およびより上質な車室空間の創出を目指しています。

自動車の室内空間は、ドライビングを楽しむだけでなく、自動運転で快適に寛ぐことや欲しい情報を最大限に取得できることなど、多角的に進化していくと予想されます。アルプスアルパインは今後も多彩な意匠開発、品位ある可動機構技術、トレンドへの対応やHMI技術等を組み合わせた提案を行っていきます。