静電技術

人と機械の新たな関係を構築する、アルプスアルパインの静電技術

スマートフォンの普及で一気に身近なものになった、タッチ操作の入力デバイス。指が画面に触れたことを検出する技術が静電技術です。静電技術は、人体の接触で発生する「電気的な変化(静電容量の大きさの変化)」を検出する仕組みであり、接触面に内蔵されたセンサーが位置や動きを感知することによって、さまざまなものを操作しています。

アルプスアルパインでは、これまでノートパソコンのタッチパッドや、ゲーム機のコントローラー、自動車の操作パネルなど、さまざまな「触れて動かす」デバイスを開発。その技術は今「触れなくても操作できる」次世代の入力体験や、ステアリングホイールに搭載のハンズオフ検出など次世代のセンサーへと進化しています。

コンピューターへの入力デバイスから発展した、アルプスアルパインの静電技術

タッチパッドは静電技術を活用したHMI(Human Machine Interface)デバイスの一環として幅広く知られています。HMIは人と機械を結ぶインターフェースであり、ボタン、スイッチ、キーボード、マウスなどが含まれます。

1983年に国産初のマウスを生み出し、コンピューターと組み合わせて利用するさまざまな機器を開発してきたアルプスアルパイン。1994年には独自の静電容量技術に強みを持つ米国Cirque Corporationの技術ライセンスを取得し、タッチパッドの先駆けとなる「グライドポイント™」をリリース。2003年には同社を子会社化すると、双方の技術を融合させ、より高精度なセンシング技術を実用化。ペット型ロボットへ適用した「タッチモーションセンサー™」やモバイル用途に適用した「グライドセンサー™」なども次々と製品化してきました。また2004年に製品化した抵抗式タッチパネルを進化させて静電容量式タッチパネルも開発し、スマートフォンなどモバイル製品を中心に製品化を進めてきました。

グライドポイント™ / グライドセンサー™ / タッチモーション™センサー

その後、民生機器で培った経験を生かし、積極的に車載用タッチパッドの研究・開発に取り組んできました。2010年には、耐ノイズ性や耐環境性の課題をクリアし、革新的な車載用タッチパッドを発表しました。

空間検出を実装し、「触れないで操作する」を具現化したAirInput™︎

搭載箇所に合わせ最適化されたセンサー設計、静電容量検出の限界性能を大きく左右するASIC(専用の集積回路)、検出したデータを解析し課題を解決するアルゴリズム。アルプスアルパインの強みは、静電技術に必要不可欠なこれら3つの要素を網羅し最適なソリューションを生み出せることです。業界に先駆けて、圧倒的な高感度と耐ノイズ性能を実現したICを開発。手袋をした状態でも検知できることに加え、複数点の同時検知や、10cm離れた位置からの手の検知も可能となっています。

AirInput™モジュール

「AirInput™︎モジュール」は、アルプスアルパインの静電技術の集大成とも言えるインターフェースです。近接空間においての「近づく、遠ざかる」といった指の細かな動きをセンシングする機能を備えており、従来のタッチ入力に代わる空中での新たなインプットを具現化しました。
水分や油分、薬品で手が汚れた状態でもパネルに触れずに操作できるため、厳格な衛生管理が求められる医療・介護現場、不特定多数の人が触れる公共交通機関、トイレやエレベーター、ATMの操作盤などに利用することで、より安全・安心・快適な社会生活を実現します。

車内空間を新たな次元へ引き上げる「Premium HMI」

現在の静電技術は、主に平面的な活用が一般的ですが、将来的にはその応用範囲が三次元に広がることが期待されています。例えば、握りやすいグリップ状やハンドル状のデバイスにセンサーを配置することで、これまでにない直感的な入力が可能になります。

アルプスアルパインは、自動車分野において「Premium HMI」の開発を推進。「Premium HMI」は、快適な操作性を実現するとともに高級感を醸成する上質なHuman Machine Interfaceを意味します。静電技術の進化とアルプスアルパインが持つプリンティング技術との融合をすることで、木材やレザー、布地などの質感を再現した表層や照光デバイスを使った車内の空調やオーディオの音量などの操作入力の実現に貢献します。車内空間のフラットデザイン化が進む中、直感的な操作と高いデザイン性を備えた「Premium HMI」は、新時代のモビリティ体験を創出できるポテンシャルを秘めています。

さらに、高感度な静電技術を進化させ、空中での検出能力を高めることで、車内空間から一般家庭や公共の場などへの「Premium HMI」の活用領域を広げていく研究開発もいち早く進めています。

これからも、アルプスアルパインの静電技術は、活用領域を広げながら人と機械が心地よく繋がるライフスタイルを創出していきます。

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